【ルポ】政府隔離ホテルで過ごす3泊4日

必要な知識

現在イギリスや南アなど、変異株流行国に滞在歴のある帰国者は、検疫所が用意した宿泊施設に3泊(出国前に陰性証明を取得した場合)、もしくは6泊(陰性証明を持参しなかった場合)滞在することになっている。その他の国からの帰国者でも陰性証明を取得しなかった人は3泊することになっている。その後PCR検査をして陰性なら退所となる。宿泊者の料金負担はない。

2021年1月末に滞在した様子の記録。

部屋の様子

空港近くの一般的なビジネスホテルの個室。窓からは、飛び立つ飛行機が見える。

スーツケースを床で広げると洗面所に行きつけないくらいの広さ。(同時期帰国の筆者の知人は他のホテルでもっと狭かったらしい。)

ドアには、「自分の部屋から出ないでください」という貼り紙。

ホテル内の様子が分かるのは、ドアについている覗き穴を通してのみ。夜中に声が聞こえるときなど、気になって覗いていた。たいていは誰もいない、ガラーンとした廊下が見えるだけ。ときどきスタッフがずらっと並んでいるのが見えた。

騒音になるので、夜遅くの入浴は禁止されていた。

なお、到着時に煙草を吸うかという質問があり、喫煙ルームと禁煙ルームに振り分けられた。

食事

3食、お弁当にお茶、フルーツジュース、カップの味噌汁が部屋に届けられる。

資料には水の配布もあるということだったが、1月末は水道水を使うことになっているとのことだった。

アナウンスで配布が開始となるので絶対に廊下に出ないよう呼び掛けられる。そして配布が終了となるとアナウンスが再び入った。

朝はその日に退所予定の人の検査&回収があるので、それが終わるまで待つことになる。

資料には朝食は朝7時半頃とあったので、夜中からそのまま起きていたら、一向にアナウンスが入らない。結局朝食はいつも朝8時半以降だった。

いろいろ栄養バランスを気にして用意されているのだろうと思うメニュー。

朝はホテルで作られたもので、昼と夜は機内食の工場から届いたと思われる感じのメニューだった。

なんというか、日本の田舎の弁当といった感じで、年配の人の方が好みそうなメニュー。純和風メニューばかりのときなど、外国人は食べられないかもしれないというラインナップ。

(ちなみに在英日本大使館は、日本人以外に向けてTwitterでスナックを持参することを薦めていた。合点がいった)

味付けはかなり濃いめ。それなのになぜか魚料理は味付けがほとんどされていなくて不思議(味覚障害なのかと疑問を抱くほど)だったが、ときどき美味しいと思えるメニューがあった。

お弁当が冷たいせいなのか、動かないせいなのか、初日の夜はしっかり食べられたけれど、日に日に食べられなくなっていった。

温かいものを食べるべきだと思ったけれど、お弁当が食べきれないから、カップの味噌汁がどんどんたまっていくという悪循環。

そして夜中に猛烈におなかがすく。時差ぼけのせいかもしれないが。このときカップの味噌汁を飲んだこともあった。

体調管理

毎朝体温と健康チェックをホームページで入力して報告することになっていた。

時差ぼけがあるなか、館内アナウンスが多いので、日本の夜の時間に眠れないと、その後うまく眠るのは難しい。

食事の配布スタート、配布完了のアナウンスが3食毎にあるので眠っていても起きることになる。この配布スタートと配布完了のお知らせも微妙に時間が空いている。

塩分が多いせいなのか、寝不足のせいか、運動不足のせいか、滞在中やたら顔がむくんだ。エアコンをつけてもやたら寒く感じた。

寝不足は、時差ぼけ、外に出られないという状況、もし陰性だったらどうしようという心配が大きく影響していたと思う。

差し入れ

家族の差し入れやネットショッピング、出前など可能だけれど、中身はスタッフのチェックが入る。滞在の間お酒が禁止なので、そのせいなのかもしれない。

コンビニ

なんとスタッフが代わりにコンビニで買い物をしてくれる。連絡をすると、部屋番号がかかれたジップロックがドアにマグネットで貼られる。そこにお金を入れると、遠くからその様子を確認したスタッフが買いにいってくれる。売っていない場合など、どうしますかと連絡が来るので回答。

その後、ドアのところにある椅子に商品とおつりが置かれ、その旨電話で連絡を受ける。お買い物係のスタッフとは直接話すことはない。

ヨーグルト、甘いものなどオーダーした。

現金を用意する必要があるのでそこが注意ポイント。

洗濯

基本的には部屋の外に出れないけれど、コインランドリーを使うときだけ、スタッフの付き添いで利用できるということだった。使わなかったけれど。

パジャマ

私が宿泊したホテルでは用意されていなかったので、ふだんパジャマを着ている人は持参した方がいいだろう。もしも陽性になって悪化したらその姿のまま搬送されることも考えて、イギリスから持ち帰っていた。

検査

最初に受け取った資料には、3泊した翌朝の7時15分に検査キットがドアのところに配布されるとあった。アナウンスがあってからドアを開けることになっていたけれど、アナウンスがなかった。

唾液を入れた試験管状の容器を、7時半以降取りに来るとあったので、7時半にドアを開けてみたら検査キットがあった。

しばらくするとノックがあり、ドアを開けると、女性の防護服を着た人々が3人くらいいた。そのうちの1人はナプキンを消毒液かなにかに湿らせたものを持っていて、その上に容器を置くよう指示される。なんだかまるでプルトニウムでも置いているような気分になった。

早朝でしんどいと思ったけれど、朝から神々しい笑顔で対応されて、感謝でいっぱいに。

他のスタッフが、手渡したパスポートをその場でパスポートをスキャンして、間違いがないようにしていた。

落ち着かない時間を過ごしていたけれど、13時半ごろ陰性の結果が電話できた。

陽性だった場合に備えてパッキングをしていなかった。15時のバスで退出することになっていたので、急いで荷物を詰める。

なぜ3泊だったのか

検疫官に聞いたところ、コロナのウイルスは接触してから感染が確認できるまで72時間が目安なのだということ。

完全にではないけれど大体の人がそれまでにウイルスが確認できるようになっているらしい。

そのため到着日を含まず3日目の朝に検査する。

検査の結果は、イギリス、また機内からウイルスを持ちこまなかったということを意味すると聞いて、七割方ほっとした。

退所時

COCOAと厚労省に健康報告するLINEがインストールされているかのチェックがあった。

荷物の配送が可能。ヤマトの着払いが利用可。安全のため預けてから72時間経過してから配送となっている。

持参の荷物は、スタッフがバスまで運ぶのを手伝ってくれた。そんなサービスをまったく期待していなかっただけに感激。ここのスタッフは皆が親切で感じがよく、イギリス帰りのせいか、感じ良すぎると感じるほどだった。

バス

退所するとき、希望者はバスが利用できる。成田空港のターミナル2か所、そしてその次には羽田空港に停まるものだ。

ホテルを出発するバスは、到着時の内部がビニール張りだったバスとは違って、ビニールなしのきれいなもの。

ホテル到着時は、陰性証明を持参した人は2回連続陰性、陰性証明を持参しなかった人は1回陰性というステイタスだったけれど、出発時は(一度も陽性が出ていない場合は)全員が3回連続陰性を手に入れていたからだろう。

自己隔離期間の残り(+12泊)を成田市内のホテルで過ごす人は、成田空港から出る1時間に1本の専用バスを利用できる(書類を提示すると乗車可)。羽田空港の場合は分からないが。

バスはいずれも無料だった。

成田空港に着いてからその専用バスが利用できるバス乗り場を一緒に探したおじさんが、自身のホテルに到着したとき「お先です」と挨拶してくれて、ふいに同士だったように感じられてなんだかうれしかった。

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